【専門家監修】防災グッズの収納はどうする?いざというときに困らない工夫と置き場所

鈴木 早織
鈴木 早織

・防災士
・救急救命士
・整理収納アドバイザー1級
・防災備蓄収納2級プランナー
20年にわたる消防局勤務での7,000件以上の災害出動経験を活かし、命を守る現場の視点から、実践的な防災と整理収納のノウハウを伝えています。

地震や台風などの災害は、いつ起こるか分かりません。子育て中のママ・パパにとって、家族を守るための防災グッズの準備は大切な備えのひとつです。しかし「せっかく準備しても、どこにしまえばいいの?」「いざというときに取り出せるか不安」という声をよく耳にします。防災グッズは準備することと同じくらい、収納場所や収納方法にも気を配ることが大切です。日常生活の邪魔にならず、緊急時にはすぐに持ち出せる工夫があれば、いざというときの行動がスムーズになります。

今回は、子育て世代のご家庭に向けて、防災グッズの収納場所の選び方から、整理のコツまで詳しくご紹介します。

防災グッズの収納で押さえておきたい基本

防災グッズを準備しても、収納方法を間違えると肝心なときに役に立ちません。まずは収納を考える前に知っておきたい基本的なポイントをお伝えします。防災グッズには大きく分けて「持ち出し用」と「備蓄用」の2種類があり、それぞれ収納の考え方が異なります。

持ち出し用と備蓄用では収納場所が違う

防災グッズは「すぐに持ち出すもの」と「自宅で待機するときに使うもの」に分けて収納することが大切です。持ち出し用は避難するときに最初に持っていくもので、玄関や寝室、時には車内など出口に近い場所に置きます。一方、備蓄用は自宅で数日間過ごすための物資で、収納スペースに余裕のある場所に保管します。

この2つを一緒にしてしまうと、避難時に重すぎて持てなかったり、必要なものがすぐに見つからなかったりする原因になります。持ち出し用は大人1人につきリュック1つを目安にし、両手が空く状態で逃げられるようにしましょう。備蓄用は3日分から7日分を目安に、家族全員が数日間過ごせる量を準備しておくと安心です。

家族構成に合わせた収納の見直しが必要

防災グッズの内容や量は、家族構成によって大きく変わります。小さなお子さんがいるご家庭では、おむつやミルク、離乳食など子ども専用のアイテムが必要です。成長とともに必要なものも変わるため、定期的な見直しが欠かせません。

お子さんの成長に合わせて、半年に1回は防災グッズの中身と収納場所を確認する習慣をつけましょう。衣替えと合わせて確認するのがおススメです。また、高齢のご家族がいる場合は常備薬や介護用品なども必要です。家族それぞれに合わせたグッズをリストアップし、誰が何を持ち出すか役割分担を決めておくと、緊急時の行動がスムーズになります。

家族構成に応じた備えを考えるうえでは、薬や医療関連の管理も見落とせません。日常時・災害時の両方で使いやすい収納の考え方は、以下の記事も参考になります。

安全な薬の収納方法!簡単にできる整理術で使いやすさUP | Sodate(ソダテ)
※お子さんがいるご家庭では緊急時セットと吐いたときに対応するセットも作っておくといいですね。

日常使いと兼用できる収納アイテムを選ぶ

防災グッズ専用の収納スペースを確保するのが難しいという方も多いのではないでしょうか。限られたスペースを有効活用するには、日常使いできるアイテムを防災グッズとして兼用する方法がおすすめです。

たとえば、キャンプ用のランタンやポータブル充電器、寝袋などはアウトドアでも災害時でも使えます。普段から使い方に慣れておくことで、いざというときにも落ち着いて対応できます。収納ケースもおしゃれなデザインのものを選べば、リビングや玄関に置いても違和感がありません。

防災グッズのおすすめ収納場所と置き方のポイント

防災グッズはどこに置くかで、緊急時の使いやすさが大きく変わります。家の中のどの場所にどのようなグッズを配置すればよいか、具体的な場所別のポイントをご紹介します。家の間取りや生活スタイルに合わせて、最適な収納場所を見つけてください。

玄関周りは持ち出し用の最優先スポット

避難時には玄関から出ることが多いため、持ち出し用の防災リュックは玄関周りに置くのがベストです。シューズボックスの中や横、玄関クローゼットの手の届きやすい場所に置いておきましょう。

玄関に置く防災リュックは、靴を履いてすぐに手に取れる高さに収納することが重要です。高いところに置くと取り出すのに時間がかかり、地震の揺れで落下して中身が散乱する危険もあります。お子さんの分も含めて、それぞれが自分のリュックをすぐに持てる位置に配置しましょう。マンションの場合は玄関収納のスペースが限られることもあるので、スリムなデザインのリュックを選んだり、壁に掛けておく収納をするとと収まりがよくなります。

寝室には枕元用の最低限グッズを

夜間に災害が発生した場合、真っ暗な中で行動しなければなりません。寝室には枕元付近に置ける小さなポーチやバッグに、最低限必要なものをまとめておくと安心です。
ただ、地震の場合ポーチやバックが散乱する恐れがあるので、ベットや布団の下に挟んで置くと安心です。

枕元付近に置いておきたいものとしては、懐中電灯やヘッドライト、室内履きになるスリッパ(できれば靴)、ホイッスル、メガネや補聴器などがあります。ガラスが割れた床を歩くことを想定して、底の厚いスリッパや靴を枕元付近に置いておくと足を守れます。小さなお子さんがいる場合は、いつも持ち歩いているおむつや着替えが1セット入っているバックを置いておくのもおすすめです。

リビングや家族が集まる場所にも分散して収納

日中に災害が起きたとき、家族がリビングにいる可能性は高いです。リビングや家族が長時間過ごす場所にも、ある程度の防災グッズを置いておくと便利です。収納ボックスやインテリアになじむケースに入れて、ソファの下やテレビ台の横など目立たない場所に置いておきましょう。

リビングに置くものとしては、簡易トイレや衛生用品、飲料水のペットボトルなどがあります。おしゃれな収納ボックスを選べば、リビングの雰囲気を損なわずに防災グッズを置けます。クッションやオットマン型の収納家具を活用すれば、普段は座ったり足を乗せたりしながら、中に防災グッズを収納できて一石二鳥です。

キッチンやパントリーは備蓄品の定位置に

食料品や飲料水などの備蓄用防災グッズは、キッチンやパントリーにまとめて収納するのがおすすめです。日常の食品管理と一緒に行うことで、賞味期限のチェックや補充がしやすくなります。

備蓄用の食料は、普段の食事で使いながら買い足していく「ローリングストック」という方法が効果的です。レトルト食品や缶詰、乾麺など日常的に食べているものを多めに買い置きしておけば、特別な非常食を買わなくても備蓄になります。棚の一角を防災備蓄コーナーと決めて、家族全員が場所を把握し食べることができることが大切です。

防災グッズを上手に収納するための工夫

収納場所が決まったら、次は具体的な収納方法の工夫です。限られたスペースでも効率よく収納でき、いざというときにすぐに取り出せる整理術をご紹介します。少しの工夫で、防災グッズの収納が格段に楽になります。

カテゴリ別に分けて見える化する

防災グッズはカテゴリごとに分けて収納すると、必要なものがすぐに見つかります。食料、衛生用品、照明器具、救急用品、衣類など、用途別にポーチやジップロックに入れて分類しましょう。

透明な袋やケースを使うと中身が一目で分かり、暗い中でも探しやすくなります。カテゴリごとに色分けしたラベルを貼っておくと、家族の誰が見てもすぐに必要なものを取り出せます。お子さんでも分かるように、イラストや写真のラベルを使うのも良いアイデアです。

防災グッズを分類する際には、以下のカテゴリを参考にしてください。

  • 飲料水と食料品
  • 衛生用品と簡易トイレ
  • 懐中電灯やランタンなど照明
  • 救急用品と常備薬
  • 防寒具と着替え

このように分類しておくと、定期点検のときにも確認しやすく、足りないものにすぐ気づけます。

リュックの中身は取り出しやすさを優先

持ち出し用のリュックは、中身の詰め方にも工夫が必要です。緊急時にはリュックを背負ったまま必要なものを取り出すこともあるため、よく使うものは外側のポケットや上部に入れておきます。

懐中電灯、モバイルバッテリー、ティッシュ、除菌シートなど使用頻度の高いものは、リュックを開けなくても取り出せるサイドポケットに入れておくと便利です。重いものは背中側に、軽いものは外側に配置すると、背負ったときに安定して疲れにくくなります。小さなお子さんを抱っこしながら避難することも想定して、片手でも開けられるタイプのリュックを選ぶと安心です。
また、雨や雪で濡れても大丈夫なように、全ての物をカテゴリーごとに密閉袋にいれて収納しましょう。防水と取り出しやすさ・整理のしやすさ、さらに除菌シートなどを乾燥から守ることができるのでさらに安心できます。

家族全員が場所と使い方を知っていることが大切

どんなに完璧に収納しても、家族が場所を知らなければ意味がありません。ママ・パパだけが把握しているのではなく、お子さんも防災グッズの収納場所と使い方を知っておくことが重要です。特にお子さんだけでお家にいることがある場合は、お子さんが1人でも使えるように準備しておきましょう。

定期的に家族で防災訓練を行い、実際に防災グッズを取り出してみる練習をしましょう。お子さんが自分のリュックを自分で背負う練習をしておくと、いざというときにパニックにならずに行動できます。また、外出先で災害に遭った場合の待ち合わせ場所や連絡方法も、家族で話し合っておくと安心です。

季節に合わせた中身の入れ替えも忘れずに

防災グッズは季節によって必要なものが変わります。夏場は熱中症対策グッズや虫除け、冬場は防寒具やカイロなど、その時期に合ったアイテムを入れ替えましょう。

衣替えのタイミングで防災グッズも見直す習慣をつけると、入れ替えを忘れにくくなります。また、お子さんの成長に伴ってサイズアウトした衣類や、賞味期限が近づいた食料品のチェックも同時に行うと効率的です。季節ごとの入れ替えリストを作っておくと、毎回悩まずに済みます。

子育て世代ならではの防災グッズ収納のコツ

小さなお子さんがいるご家庭では、一般的な防災グッズに加えて子ども用のアイテムも必要になります。子育て中だからこその収納の工夫や、準備しておきたいアイテムについてご紹介します。お子さんの年齢に合わせて、定期的に見直していきましょう。

子ども用の防災グッズは成長に合わせて更新

お子さんの成長はあっという間です。おむつのサイズ、着替えのサイズ、食べられるものなど、成長に合わせて防災グッズの中身の更新が必要です。

乳児期はミルクや哺乳瓶、おむつが中心ですが、離乳食が始まれば食事関連のグッズも変わります。お子さんの成長記録をつけるついでに、防災グッズの見直しも一緒に行うと更新忘れを防げます。幼児期になると、お気に入りのぬいぐるみやおもちゃを入れておくと、避難生活でのストレス軽減につながります。

子どもの年齢別に用意しておきたいアイテムを以下にまとめました。

年齢 必要なアイテム 収納のポイント
0〜1歳 粉ミルク、哺乳瓶、おむつ、おしりふき、着替え すぐ取り出せる位置に配置
1〜3歳 おやつ、着替え、おむつまたはトレーニングパンツ、お気に入りのおもちゃ 子どもが持てる小さなリュックに一部を入れる
3〜6歳 着替え、おやつ、絵本やぬりえ、子ども用マスク 自分で背負えるリュックを用意
小学生 着替え、おやつ、本やトランプ、自分の連絡先カード 自分の持ち物として管理させる

この表を参考に、お子さんの今の年齢に合ったグッズを揃えてみてください。

子どもの成長に合わせた備え方を知っておくと、更新のタイミングに迷いにくくなります。日常の中で無理なく防災を取り入れる考え方や、親子で取り組む工夫については、以下の記事も参考になります。

「いつかやる」では間に合わない!?子どもとおうち防災 | Sodate(ソダテ)

また、「本当に必要なもの」「後から足せばよいもの」を整理しておくと、防災準備の負担を減らせます。最低限そろえておきたい防災グッズの考え方は、以下の記事も参考になります。

防災グッズで本当に必要なものは?防災準備特集 | Sodate(ソダテ)※災害用トイレも準備しましょう。防災リュックには携帯用トイレをいれます。

抱っこでの避難を想定した荷物の軽量化

小さなお子さんがいる場合、避難時には抱っこやおんぶをしながら逃げることになります。そのため、持ち出し用の荷物はできるだけ軽くすることが大切です。

大人1人の持ち出しリュックは、お子さんを抱えることを考慮すると5〜10kg程度といわれています。重すぎると走って逃げることができません。実際に背負って歩ける重さにしましょう。必要最低限のものだけを厳選し、あれもこれもと詰め込みすぎないようにしましょう。パパとママで持つものを分担し、どちらか一人でも最低限の避難ができる荷物にしておくと安心です。

子ども専用の小さなリュックを用意する

3歳以上のお子さんには、自分専用の小さな防災リュックを準備しましょう。自分の荷物を自分で持つという意識づけにもなり、防災への関心も高まります。

子ども用リュックには重いものは入れず、おやつや小さなおもちゃ、家族の写真、自分の名前と連絡先・アレルギーなど配慮が必要なことを書いたカードなどを入れておきます。お子さんと一緒にリュックの中身を考えることで、防災について楽しく学ぶきっかけになります。好きなキャラクターのリュックを一緒に準備すると、愛着を持って大切にしてくれます。

母子手帳や保険証のコピーも忘れずに

お子さんの医療情報が詰まった母子手帳は、避難時にも持っていきたい大切なものです。原本を持ち出せない場合に備えて、コピーを防災リュックに入れておきましょう。

母子手帳、健康保険証、お薬手帳、かかりつけ医の連絡先などをコピーして防水機能がある袋に入れ、防災リュックに入れておくと安心です。スマートフォンで写真を撮っておき、クラウドに保存しておく方法もあります。予防接種の記録やアレルギー情報など、緊急時に医療機関で必要になる情報は特に重要です。

防災グッズ収納の定期点検と見直し方法

防災グッズは一度準備して終わりではありません。定期的な点検と見直しをすることで、いざというときに本当に使える状態を保てます。忙しい子育て中でも無理なく続けられる点検方法をご紹介します。

点検のタイミングは年に2回がおすすめ

防災グッズの点検は、年に2回行うのがおすすめです。具体的には衣替えに合わせるといいでしょう。春と秋に行うことで、夏物と冬物の入れ替えも同時にできて効率的です。防災関連の日に合わせると忘れにくくなります。

9月1日の防災の日や3月11日の前後に点検日を設定し、カレンダーに書き込んでおくと忘れずに実行できます。点検の際は中身を全て出して、一つずつ状態を確認します。懐中電灯の電池が切れていないか、食料の賞味期限は大丈夫かなど、実際に使えるかどうかをチェックしましょう。

賞味期限切れを防ぐローリングストック法

備蓄食料の賞味期限切れを防ぐには、日常的に消費しながら補充していく「ローリングストック法」が有効です。特別な非常食を買い込むのではなく、普段食べているものを少し多めにストックしておく方法です。

レトルトカレーやパスタソース、缶詰、カップ麺など、賞味期限が長くて普段も食べているものを常に多めに買い置きしておきましょう。古いものから食べて、新しいものを奥に補充する習慣をつければ、賞味期限切れの心配がなくなります。お子さんが普段食べている好きな味のものを選べば、避難生活でも食事が楽しみになります。

点検チェックリストを作っておく

点検の度に何をチェックすればいいか迷わないよう、あらかじめチェックリストを作っておくと便利です。リストがあれば確認漏れを防げますし、家族で分担して点検することもできます。

点検リストに入れておきたい項目は以下のようなものです。

  • 食料品と飲料水・災害用トイレの賞味・使用期限確認
  • 懐中電灯やラジオの電池残量チェック
  • モバイルバッテリーの充電状態確認
  • 衣類のサイズが家族に合っているか確認
  • 常備薬の使用期限確認
  • 収納場所が家族全員に周知されているか確認

このチェックリストをスマートフォンのメモアプリに保存しておけば、いつでも確認できて便利です。

見直しの結果を家族で共有する

点検と見直しの結果は、家族全員で共有することが大切です。何を入れ替えたか、新しく追加したものは何か、収納場所に変更はないかなど、情報を共有しておきましょう。できれば一緒に点検するといいですね。

点検のあとに家族会議の時間を設けて、避難時の行動についても話し合っておくとより安心です。お子さんも交えて「地震が来たらどうする?」「火事になったらどこから逃げる?」など、クイズ形式で楽しく防災について考える機会を作りましょう。普段から話し合っておくことで、いざというときにも落ち着いて行動できるようになります。

まとめ

防災グッズの収納は、準備と同じくらい大切なポイントです。持ち出し用と備蓄用を分けて、それぞれ適切な場所に収納することで、いざというときにスムーズに行動できます。

例えば玄関には持ち出し用リュック、寝室には枕元用グッズ、キッチンには備蓄品と、場所ごとに役割を決めて収納しましょう。カテゴリ別に分けて見える化し、家族全員が場所を把握して使用できるようにしておくことも重要です。

子育て世代は、お子さんの成長に合わせた定期的な見直しが欠かせません。年に2回の点検を習慣化し、賞味・使用期限切れや電池切れがないかチェックしましょう。家族で防災について話し合い、いつ災害が起きても大切な家族を守れる備えを整えていきましょう。

アイフルホームでは、防犯や防災をテーマにした住まいづくりのご相談を受け付けています。地震対策や家具固定といった身近な備えから、災害時のリスクを減らす間取り・設備の考え方まで、暮らしに合った対策を具体的に知ることができます。防災・防犯対策についてしっかり考えたい方は、ぜひこちらのページをご覧ください。

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