「うちの子、まだ指差ししないけど大丈夫かな?」「他の子は指差ししているのに、うちの子はまだなんです…」子育て中のママなら、こんな不安を感じたことがあるのではないでしょうか。
実は、赤ちゃんの指差しは単なる動作ではなく、コミュニケーション能力や認知発達の重要な発達の節目なんです。この指差し行動がいつから始まり、どのように発達していくのか、そして親としてどうサポートすればよいのかを理解することは、子育てにおいて大切です。
この記事では、赤ちゃんの指差しの開始時期や発達段階とその意味、そして指差しを促す方法までを、専門家の見解をもとに詳しく解説します。お子さんの成長を見守る際の参考にしてください。
赤ちゃんの指差しはいつから始まる?開始時期と個人差
赤ちゃんが指差しを始める時期は、一人ひとり異なります。参考として、ここでは指標となる一般的な目安をみていきましょう。
一般的な指差しの開始時期
多くの赤ちゃんは、生後6ヶ月から1歳頃にかけて、指差しを始めることが一般的です。早い子では生後6ヶ月頃から指差しが見られることもありますが、平均的には生後9ヶ月から10ヶ月頃が最も多いとされています。
この時期に個人差があるのは自然なことなので、あまり焦らないようにしましょう。
指差しの初期段階の特徴
最初のうちは、上手く人差し指だけを出せないことも珍しくありません。手全体を使って方向を差したり、グーの状態から人差し指だけを少し出したりする形から始まることが多いです。
この段階では、赤ちゃんは自分の興味を引いたものや気になるものに対して、本能的に手を伸ばしています。まだ意図的なコミュニケーションというよりは、自分の関心を表現する動作として現れることが多いでしょう。
指差しは赤ちゃんが初めて意図的に行うコミュニケーション手段の一つです。言葉が話せるようになる前から、周囲の大人に自分の興味や要求を伝える重要な方法なのです。
赤ちゃんの指差しの発達段階とその意味
指差しは単なる身体の動きではなく、赤ちゃんの認知能力やコミュニケーション能力の発達を示す重要なサインです。月齢によって指差しの意味や目的が変化していくことを知っておくと、お子さんの発達段階を理解する助けになります。
生後10ヶ月頃:興味の指差し
この時期になると、赤ちゃんは自分が興味を持ったものを指差すようになります。これは「あれは何だろう?」「あれが気になる」という好奇心や探究心の表れです。
例えば、部屋の中で動くものや光るもの、窓の外の景色など、視界に入った新しいものや変化するものに対して指を差して注目することがあります。
この時期の指差しに対して親が反応することで、赤ちゃんは「自分の意思が相手に伝わった」という経験をします。これが共同注意と呼ばれる社会的認知の基盤となり、その後のコミュニケーション発達に重要な影響を与えます。
生後12ヶ月頃:叙述の指差し
1歳頃になると、赤ちゃんは指差しを使って物の名前を尋ねたり、自分が知っている物を示したりする「叙述の指差し」ができるようになります。
例えば、犬を見て「ワンワン」と言いながら指差したり、飛行機を見つけて「あっ」と言いながら空を指差したりします。これは物と名称を関連付けて伝える行動で、言葉の習得が進んでいることを示しています。
生後14ヶ月頃:要求の指差し
1歳2ヶ月頃になると、「要求の指差し」が発達し、欲しいものや行きたい場所を指差して要求するようになります。これは赤ちゃんの意思表示の手段として重要な役割を果たします。
例えば、手の届かない場所にあるおもちゃを指差して欲しいと伝えたり、外を指差して「お外に行きたい」という気持ちを表現したりします。
要求の指差しができるようになると、赤ちゃんの不満が減ることも多いです。自分の欲求を伝える手段を持つことで、泣いたりぐずったりすることなく、自分の気持ちを表現できるようになるからです。
赤ちゃんの指差しが持つ重要な意味
指差しは単なる動作以上の意味を持ち、赤ちゃんの発達において重要な役割を果たしています。なぜ指差しがこれほど重要視されるのか、その理由を詳しく見ていきましょう。
コミュニケーション能力の発達指標
指差しは言葉を話せるようになる前の重要なコミュニケーション手段です。言葉でうまく表現できない時期の赤ちゃんにとって、指差しは自分の関心や要求を伝える大切な方法になります。
指差しを通じて、赤ちゃんは「自分が注目していることを他者と共有する」という社会的コミュニケーションの基本を学びます。これは後の言語発達や対人関係の発達につながる重要な基盤となります。
また、指差しは赤ちゃんが「他者の心」を理解し始めている証拠でもあります。つまり、「自分が指を差せば、相手もそこを見てくれる」という理解があることを示しています。これは心の理論(他者の意図や信念を理解する能力)の初期段階といえるでしょう。
認知発達との関連性
指差しは認知発達の重要な指標でもあります。物を指差す行為は、赤ちゃんが自分の周囲の環境に注意を向け、区別して認識できていることを示しています。
特に「叙述の指差し」は、赤ちゃんが物の永続性(見えなくなっても物が存在し続けるという概念)を理解し始めていることを表しています。また、カテゴリー化や物の名前を覚える能力とも関連しています。
指差しは赤ちゃんの脳の発達、特に前頭前野の発達と密接に関連しています。この脳の部位は計画、問題解決、社会的行動の調整などを担う重要な領域です。
発達障害の早期発見のサイン
指差し行動は1歳半健診でも確認される重要な発達指標の一つです。特に、共同注意を伴う指差し(大人と一緒に何かに注目する指差し)ができるかどうかは、自閉症スペクトラム障害(ASD)の早期発見に役立つことがあります。
一般的に、18ヶ月を過ぎても指差しが見られない場合や、指差しに対する反応がない場合は、発達の遅れや偏りを示す可能性があります。ただし、これだけで判断せず、発達の様子を見守りながら、状況に応じて専門家に相談することが大切です。
指差しの有無だけでなく、指差しの質や目的も重要です。単に欲しいものを指差すだけでなく、興味を共有するための指差しができるかどうかも発達の重要な指標となります。
赤ちゃんの指差しを促す効果的な方法
赤ちゃんの指差し行動は自然に発達するものですが、親の関わり方によってその発達を促すことができます。日常生活の中で無理なく実践できる方法をご紹介します。
親自身が積極的に指差しをする
赤ちゃんは周囲の大人の行動を手本として学びます。親自身が日常的に指差しをすることで、赤ちゃんもその行動を真似るようになります。
例えば、「あ、お空に飛行機が飛んでるね」と言いながら空を指差したり、「ほら、ワンワンがいるよ」と言って犬を指差したりしましょう。特に外出時は、周囲の様々なものを指差して名前を言うことで、赤ちゃんの目線の先にあるものや、赤ちゃんが興味を示しそうなものを意識的に指差すと効果的です。
親の指差しには必ず言葉を添えることで、指差しと言葉の結びつきを自然に教えることができます。これは言語発達にも良い影響を与えます。
赤ちゃんの指差しに適切に応答する
赤ちゃんが何かを指差したときは、その指差しに気づき、適切に応答することが大切です。これにより、赤ちゃんは「指差しがコミュニケーションとして機能する」ことを学びます。
例えば、赤ちゃんが窓の外を指差したら、「何が見えたの?あ、雨が降ってるね」など、赤ちゃんの関心に合わせた言葉で応答しましょう。
また、赤ちゃんが指差しをしたときは、できるだけその方向を一緒に見て、「すごいね!」「きれいだね」などと共感を示すことも重要です。このような共同注意の経験が、赤ちゃんのコミュニケーション能力を育てます。
絵本の読み聞かせを活用する
絵本の読み聞かせは、指差し行動を促す絶好の機会です。絵本を読みながら、登場人物や物を指差して名前を言うことで、赤ちゃんも真似をするようになります。
特に、大きな絵や色鮮やかなイラストが載っている絵本は、赤ちゃんの注意を引きやすく、指差し行動を促しやすいです。「これは何かな?」と質問しながら読み進めると、赤ちゃんも徐々に絵を指差すようになるでしょう。
また、読み聞かせの時間は、親子の大切なコミュニケーションの時間です。焦らず、楽しい雰囲気で行うことが大切です。
歌や手遊びを取り入れる
「いないいないばあ」などの遊びは、指差しを自然に促す遊びです。また、「むすんでひらいて」などの手遊び歌も、指の動きを意識する良い機会になります。
例えば、「これなあに?」のような、物を指差して名前を答える遊びも効果的です。遊びの中で自然に指差しを取り入れることで、赤ちゃんも楽しみながら学ぶことができます。
遊びを通して指差しを促すことで、赤ちゃんはストレスなく自然に指差し行動を身につけることができます。無理に教え込むのではなく、日常の楽しい時間の中で取り入れていきましょう。
指差しと言葉の発達の関連性
指差しと言葉の発達には密接な関連があります。指差しがどのように言語発達の基盤となるのか、その関係性について詳しく見ていきましょう。
指差しが言語発達に与える影響
指差しは言語発達の前段階として非常に重要な役割を果たします。研究によれば、早期に指差しを始めた赤ちゃんは、その後の語彙の習得も早い傾向があるとされています。
指差しを通じて、赤ちゃんは「物と名前の関連づけ」を学びます。例えば、リンゴを指差して「りんご」と言うことで、その物の名前を覚えていきます。これは言語習得の基本的なプロセスです。
また、指差しは「共同注意」を確立する重要な手段でもあります。親と赤ちゃんが同じものに注目することで、コミュニケーションの基盤が作られ、言葉の学習が促進されるのです。
指差しは「物の名前を尋ねる」という赤ちゃんの最初の質問形式とも言えます。赤ちゃんが何かを指差すと、親は自然とその名前を教えます。この繰り返しが語彙を増やす重要な機会となります。
指差しから単語へ:言葉の発達過程
赤ちゃんの言語発達は、一般的に以下のような流れで進みます:
- 喃語(なんご)の段階(6ヶ月頃~):「あー」「まんま」などの音声
- 指差しの段階(9ヶ月頃~):物を指差して関心を示す
- 一語文の段階(1歳頃~):「ママ」「ワンワン」など単語を話し始める
- 二語文の段階(1歳半頃~):「ママ いく」など2つの単語を組み合わせる
指差しは、喃語から一語文への橋渡しの役割を果たします。指差しと発声を組み合わせることで、次第に言葉へと発展していくのです。
例えば、最初は犬を見て「あっ」と言いながら指差すだけでしたが、徐々に「ワンワン」と言いながら指差すようになり、最終的には指差しなしでも「ワンワン」と言えるようになっていきます。
言葉の遅れと指差しの関係
言葉の発達に遅れがある場合、指差し行動にも注目することが重要です。特に、1歳半を過ぎても指差しが見られない場合や、指差しの頻度が少ない場合は、言語発達にも影響がある可能性があります。
指差しと言葉の発達は相互に関連しているため、指差しを促すことで言葉の発達も促進することができます。言葉の遅れが気になる場合は、まずは指差しなどの前言語的コミュニケーションを育てることが有効です。
ただし、発達には個人差があることを忘れないでください。気になる点があれば、小児科医や言語聴覚士などの専門家に相談することをおすすめします。早期からの適切な支援が、その後の発達に良い影響を与えることがあります。
指差しができない場合の対応と注意点
赤ちゃんが平均的な時期を過ぎても指差しをしない場合、親としてどう対応すべきか、またどんな点に注意すべきかを解説します。
個人差を理解する重要性
まず理解しておきたいのは、子どもの発達には大きな個人差があるということです。一般的な目安はあくまで平均であり、少し遅れていても必ずしも問題があるとは限りません。
例えば、運動発達が早い子どもは言語発達がやや遅れることもありますし、その逆もあります。全体的な発達のバランスを見ることが重要です。特に双子や第二子以降の場合、第一子よりも言語発達が少し遅れることもあります。これは環境要因によるもので、多くの場合は時間とともに追いついていきます。
発達は一直線ではなく、停滞期や急速に伸びる時期があることを理解しておきましょう。一時的に指差しが見られなくても、その後急に始まることもありますので、焦らず見守ることが大切です。
専門家に相談すべきタイミング
以下のような場合は、小児科医や発達専門家に相談することを検討しましょう。
- 生後18ヶ月を過ぎても指差しが全く見られない
- 以前はあった指差しが見られなくなった
- 指差しはするが、共同注意(親と一緒に同じものを見る)ができない
- 名前を呼んでも振り向かない、または反応が一貫しない
- 人への関心が極端に低い
- アイコンタクトが少ない
これらの兆候は、単独では必ずしも問題を示すものではありませんが、複数当てはまる場合は専門家の評価を受けることで、早期支援につながる可能性があります。
1歳半健診や3歳児健診などの機会を活用して、発達について相談することもできます。不安があれば、健診の際に具体的に伝えることが大切です。
自宅でできる発達サポート
指差しを含む発達を促すために、日常生活の中でできることがいくつかあります。
- スマホやテレビなどのスクリーンタイムを制限し、対面でのコミュニケーションの時間を増やす
- 赤ちゃんの興味を引くような絵本やおもちゃを使って、一緒に遊ぶ時間を作る
- 赤ちゃんの行動や発声に対して、積極的に応答する
- 日常の動作を言葉で説明しながら行う(例:「今からお着替えするよ」「お水を飲もうね」)
- 赤ちゃんと目線を合わせて話しかける機会を増やす
これらの関わりは、特別なことではなく、日常の中で自然に行えることばかりです。重要なのは、赤ちゃんとの質の高いコミュニケーションの時間を確保することです。
発達を促すには「教える」よりも「応答的に関わる」ことが重要です。赤ちゃんの興味や関心に寄り添い、それを発展させるような関わりを心がけましょう。
まとめ
赤ちゃんの指差しは、単なる動作ではなく、コミュニケーションや認知発達の重要なステップです。生後6ヶ月から1歳頃に始まり、興味の指差し、叙述の指差し、要求の指差しへと発達していく過程は、赤ちゃんの心と脳の成長を表す大切なサインです。
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