【専門家監修】食器棚の地震対策で家の安心度が変わる!今日からできる備え方

鈴木 早織
鈴木 早織

・防災士
・救急救命士
・整理収納アドバイザー1級
・防災備蓄収納2級プランナー
20年にわたる消防局勤務での7,000件以上の災害出動経験を活かし、命を守る現場の視点から、実践的な防災と整理収納のノウハウを伝えています。

キッチンに立つたびに、ふと目に入る食器棚。普段は家族の食器やグラスを整然と収めてくれる頼もしい存在ですが、大きな地震が起きたとき、その食器棚が凶器に変わってしまうことをご存じでしょうか。実際に過去の大地震では、倒れてきた家具の下敷きになったり、飛び出した食器の破片でけがをしたりする被害が多数報告されています。

この記事では、食器棚を「倒れない・動かない」「扉が開かない」「中身が飛び出さない」「避難経路をふさがない」ようにするための具体的な方法を、小さなお子さんがいるご家庭の視点でわかりやすく解説していきます。幅広くご紹介しますので、ぜひご自身の状況に合った対策を見つけてください。

食器棚の地震対策とは

食器棚の地震対策とは、地震が発生したときに食器棚が転倒したり移動したりすることを防ぎ、さらに扉が開いて中の食器が飛び出すことを防ぐための一連の取り組みを指します。家の構造自体を強化する耐震工事とは別に、室内の家具レベルで行う防災対策として位置づけられます。

地震で食器棚が引き起こす危険性

大きな地震が起きると、食器棚にはさまざまなリスクが発生します。まず最も深刻なのが、食器棚そのものが転倒して人の下敷きになり、打撲や骨折、最悪の場合は命を落とす危険があることです。高さのある大型の食器棚は重量もかなりあるため、倒れてきたときの衝撃は想像以上に大きくなります。

次に、扉が開いて中の食器が飛び出し、床一面にガラスや陶器の破片が散乱する危険があります。逃げようとしたときや在宅避難時に足裏を切ってしまったり、揺れで飛んできた食器が直撃したりする事例も少なくありません。さらに、倒れた食器棚や散乱した破片が玄関や廊下をふさいでしまうと、避難経路が確保できず、逃げ遅れる原因にもなります。
そして、大地震のときは救急車もこれず、病院受診も困難になります。普段は病院にかかれば治るケガなども、受診できないことでケガから全身状態が悪化することもあります。

また、食器棚の近くに調理機器やガスコンロがある場合、落下した食器や倒れた家具が火気に接触して火災につながるリスクもあります。このように、食器棚は地震時に複数の危険をもたらす存在であり、だからこそ事前の対策が欠かせません。

建物の耐震構造との関係

住宅には、地震に対抗するためのさまざまな構造が用いられています。代表的なものに、耐震構造、制震構造、免震構造の三つがあります。耐震構造は、柱や梁、耐震壁などを強化して建物自体が揺れに耐える仕組みです。制震構造は、ダンパーと呼ばれる装置を組み込んで地震のエネルギーを吸収し、建物の揺れを軽減する仕組みです。免震構造は、建物と地盤の間に免震装置を設置して、揺れそのものを建物に伝えにくくする仕組みです。

これらはいずれも建物全体の安全性を高める重要な技術ですが、どれほど優れた耐震構造の家に住んでいても、室内の家具が固定されていなければ人的被害は防げません。建物が無事でも、中で暮らす人がけがをしてしまっては意味がないのです。

つまり、建物レベルの地震対策と、家具レベルの地震対策は、どちらも欠かせないセットの関係にあります。家を建てるときやリフォームするときに建物の耐震性能を高めることはもちろん大切ですが、それと同時に、食器棚をはじめとする室内の家具をしっかり固定することで、初めて本当の安全が確保できるのです。

建物の耐震性能と室内の家具固定はどちらも重要で、両方を整えることで初めて安心できる住まいになります。耐震等級の違いや選び方を知っておくと、家づくりやリフォームで優先すべきポイントが明確になります。詳しい解説は、こちらの記事をご参照ください。

耐震等級とは?1・2・3でどう違う?調べ方や決め方を解説 | Sodate(ソダテ)

食器棚の地震対策の基本的な方法

食器棚の地震対策は、大きく分けて四つの柱で構成されています。それは「固定して倒れないようにする」「扉が勝手に開かないようにする」「中身が飛び出さないようにする」「設置場所を工夫する」の四つです。ここでは、それぞれの対策について具体的な方法と使用するアイテムを詳しく見ていきましょう。特別な技術がなくても実践できるものばかりですので、ぜひ参考にしてください。

固定して倒れないようにする方法

食器棚を倒れないようにするには、壁や天井にしっかりと固定する必要があります。最も効果が高いのは、L字型の金具や専用の固定金具を使って、食器棚の上部を壁に直接ネジで固定する方法です。この方法は、大きな揺れが来てもほとんど倒れることがないため、防災の専門家からも強く推奨されています。

ただし、賃貸住宅にお住まいの方や、壁に穴をあけたくない方には、別の選択肢もあります。転倒防止ベルトは、ベルトで食器棚と壁をつなぐことで倒れにくくする方法で、金具よりは固定力が劣りますが、比較的手軽に取り付けられます。さらに、突っ張り棒や耐震ポールを食器棚の上と天井の間に設置する方法もあります。これらは工具不要で取り付けられるため、賃貸住宅でも使いやすいのが特徴です。

また、食器棚の下に敷く耐震マットや耐震シートも有効です。これらは摩擦力と弾性によって家具の滑りや転倒を軽減する効果があります。ただし、食器棚のように大きい家具は耐震マットだけでは大きな地震には対応しきれない場合もあるため、あくまで補助的な手段として考え、つっぱり棒などのポール式と併用する方が器具の効果が高まります。

扉が勝手に開かないようにする方法

地震の揺れで食器棚の扉が開いてしまうと、中の食器が一斉に飛び出してきます。これを防ぐために有効なのが、耐震ラッチや耐震ロックと呼ばれる装置です。耐震ラッチは、揺れを感知すると自動的に扉をロックする仕組みで、最近の食器棚には標準装備されているモデルも増えています。

既存の食器棚に後付けする場合は、ホームセンターやインターネット通販で後付け用の耐震ラッチを購入できます。取り付けには多少の工具が必要ですが、ドライバー一本で作業できるものがほとんどです。工具不要の両面テープで貼り付けるタイプもあります。また、子ども用のチャイルドロックを耐震対策として使うこともできます。これは小さなお子さんがいるご家庭なら、普段の安全対策や事故防止と地震対策を兼ねられて一石二鳥です。

日常で取り入れやすい対策や、家庭で優先すべきポイントを押さえておけば、いざというときに落ち着いて行動できます。子ども目線の防災アイデアを知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

「いつかやる」では間に合わない?子どもとおうち防災 | Sodate(ソダテ)

中身が飛び出さないようにする工夫

扉をロックしても、棚の中で食器が暴れてしまっては意味がありません。食器棚の中身を守るには、棚板に滑り止めマットを敷く方法が効果的です。皿やグラスが滑りにくくなるため、揺れによる落下を大幅に減らすことができます。

また、収納の仕方を工夫することも重要です。重い鍋や大皿は下段に、上段は壊れにくい素材や軽い食器を収納するようにすると、重心が下がって食器棚全体が安定します。さらに、万が一落下したときの被害も少なくなります。上段に割れ物を置きたいときは、箱に入れて収納するのがおススメです。揺れで割れ物が倒れたときでも箱の中だけになるので、被害を最小限にすることができ、割れたときの片付けも楽になります。また、上段は1番取り出しにくい場所なので、取ってのついた箱に収納することで、取り出しにくさも解消することができ、一石二鳥になります。 

ガラス扉の食器棚をお使いの場合は、飛散防止フィルムを貼っておくことをおすすめします。ガラスが割れても破片が飛び散りにくくなるため、けがのリスクを大きく減らすことができます。フィルムは透明なので見た目もほとんど変わらず、貼るだけで安心感が得られます。

設置場所を見直す重要性

どれだけ対策をしても、食器棚が倒れたときに避難経路をふさいでしまう場所に置いてあっては意味がありません。食器棚を配置するときは、玄関や廊下、階段などの主要な通路を避け、倒れても避難の妨げにならない場所を選ぶことが大切です。

また、寝室や子ども部屋の近くに大型の食器棚を置くのも避けたほうが無難です。就寝中に地震が起きた場合、逃げ遅れるリスクが高まるためです。キッチンの中でも、調理スペースやガスコンロから離れた場所に設置することで、火災のリスクを減らすことができます。

冷蔵庫やレンジ台など、他の大型家具との位置関係も考慮しましょう。複数の家具が連鎖的に倒れると、被害が拡大してしまいます。それぞれの家具の間に十分なスペースを確保し、倒れたときに干渉しないように配置することが理想です。

地震対策グッズの選び方と使い方

食器棚の地震対策には、さまざまなグッズが市販されています。しかし、種類が多すぎてどれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。ここでは、代表的な地震対策グッズの特徴と選び方、そして正しい使い方について詳しく解説します。

L字金具と固定金具の選び方

L字金具は、食器棚と壁を直接固定する最も強力な方法です。金具を選ぶときは、まず食器棚の重量と高さに対応できる耐荷重のものを選びましょう。一般的な家庭用の食器棚であれば、耐荷重50キログラム以上のものを目安にすると安心です。

金具の材質も重要です。ステンレス製や亜鉛メッキ鋼板製のものは錆びにくく、長期間使用できるためおすすめです。また、金具のサイズが食器棚の板の厚みに合っているかも確認しましょう。薄い板に大きな金具を無理に取り付けようとすると、食器棚側が破損してしまうこともあります。

取り付けの際は、必ず壁の下地がある場所を選び、専用のネジでしっかり固定します。下地がない場所に無理やり取り付けると、揺れで金具ごと外れてしまい、かえって危険なので注意が必要です。下地の位置がわからない場合は、壁を軽く叩いて音の違いを確認するか、市販の下地センサーを使って探しましょう。下地がない場合は家具の幅全体に板を渡しねじ止めをしてから金具を取り付けましょう。

突っ張り棒と耐震ポールの選び方

突っ張り棒や耐震ポールを選ぶときは、食器棚の天面から天井までの高さを正確に測り、その範囲に対応できる長さのものを選びます。伸縮範囲が広すぎるものは、突っ張る力が弱くなることがあるため、できるだけ実際の高さに近いサイズを選ぶのがコツです。

耐荷重も重要なポイントです。食器棚は重量があるため、最低でも耐荷重30キログラム以上、できれば50キログラム以上のものを選ぶと安心です。また、天井と食器棚に接する部分が大きなプレート状になっているタイプのほうが、圧力が分散されて外れにくくなります。

取り付け場所は家具の両端の側板部の壁側奥です。できるだけ奥に取り付けましょう。さらに、天井の強度も確認しましょう。天井が石膏ボードだけの場合、強く突っ張ることで天井が破損することがあります。天井裏に梁がある位置に設置するか、家具の幅以上の当て板で補強すると安全です。設置後は、少なくとも1年に1回は定期的にポールが緩んでいないか点検し、必要に応じて締め直すことが大切です。

耐震マットと耐震シートの選び方

耐震マットや耐震シートは、食器棚の底面に敷いて滑りや転倒を防ぐアイテムです。選ぶときは、食器棚の重量に対応できる粘着力があるかどうかを確認しましょう。比較的軽い食器棚には薄手のシートでも十分ですが、大型で重い食器棚には、厚みがあってしっかりとした粘着力のあるマットが適しています。

耐震マットには、ゲル状のものやゴム製のものなど、いくつかの種類があります。ゲル状のマットは粘着力が強く、繰り返し使える点がメリットですが、床の材質によっては跡が残ることがあります。ゴム製のマットは比較的跡が残りにくく、賃貸住宅でも使いやすいのが特徴です。

設置するときは、食器棚の四隅と中央にバランスよく配置し、食器棚の底面と床の両方をきれいに拭いてから貼り付けます。ほこりや油汚れが残っていると粘着力が弱くなるため、事前にしっかり清掃してから使いましょう。また、経年劣化で粘着力が落ちることがあるため、数年ごとに交換することをおすすめします。
※マット式やシート式の単独使用は、食器棚のような大きな家具の場合には一般的には適しません。

耐震ラッチと扉ロックの選び方

耐震ラッチは、揺れを感知して扉を自動的にロックする装置です。選ぶときは、食器棚の扉の形状や開き方に対応しているかを確認しましょう。観音開きの扉、引き戸、上開き扉など、扉のタイプによって適合するラッチが異なります。

後付け用の耐震ラッチは、ホームセンターやインターネット通販で購入できます。取り付けには多少の工具が必要ですが、ドライバーがあれば作業できるものがほとんどです。工具不要の両面タープタイプもあります。取り付け位置は、扉の内側の上部が一般的ですが、商品の説明書に従って正しい位置に設置しましょう。

小さなお子さんがいるご家庭なら、チャイルドロックを防災対策として活用するのも一つの方法です。マグネット式や粘着式のチャイルドロックは取り付けが簡単で、地震時の扉開放防止にも一定の効果があります。ただし、専用の耐震ラッチに比べると効果は劣るため、あくまで補助的な手段として考えるのがよいでしょう。

また、食器棚以外にも家庭で備えておきたい防災グッズを見直すことも大切です。いざという時に役立つアイテムを知っておくと、日頃の備えに優先順位をつけやすくなります。必要なものを効率よく揃えたい場合はこちらも参考になります。

防災グッズで本当に必要なものは?防災準備特集 | Sodate(ソダテ)

※昨今の天候変動により、暑さ・寒さ対策グッズも追加しておきましょう。

食器棚の中身を守る収納の工夫

地震対策は、食器棚自体を固定するだけでは不十分です。中に収納されている食器やグラスをどう守るかも、同じくらい重要です。収納の仕方を少し工夫するだけで、地震時の被害を大きく減らすことができます。ここでは、食器棚の中身を守るための具体的な収納方法をご紹介します。

重いものは下、軽いものは上に収納する

食器棚の中身を収納するときの基本は、重いものを下段に、上段は壊れにくい素材や軽い食器を収納することです。重い鍋や大皿、土鍋などは下の段に収納し、壊れにくい素材や軽い食器は上の段に収納することで、落下したときの危険を小さくできます。

万が一食器が落下したときも、上から落ちてくるものが軽ければ、けがのリスクが少なくなります。重い食器が高い位置から落ちてくると、頭や肩に直撃したときのダメージが大きいため、収納位置は安全面からも重要です。

さらに、よく使う食器は腰から目線の高さに、あまり使わない軽いものは上部に、重いものは足元にというように、使用頻度や重さに応じて配置を決めると、日常生活の使い勝手もよくなります。地震対策と生活のしやすさを両立させる収納を心がけましょう。

棚板に滑り止めマットを敷く

食器棚の棚板に滑り止めマットやシートを敷くことで、地震の揺れによる食器の滑りや落下を防ぐことができます。特にガラス製のコップや陶器の皿は滑りやすいため、滑り止めマットを敷くだけでもかなりの効果があります。

滑り止めマットには、シリコン製やゴム製、発泡素材などさまざまな種類があります。食器棚の棚板に合ったサイズにカットできるタイプを選ぶと、無駄なく使えて便利です。また、洗って繰り返し使えるタイプなら、清潔に保つこともできます。

マットを敷くときは、棚板全体に敷き詰めるのではなく、食器を置く場所にピンポイントで敷くようにすると、見た目もすっきりして掃除もしやすくなります。特に、重ねて収納している皿の下には必ずマットを敷くようにしましょう。

食器同士の間隔を空けて収納する

食器棚の中に食器を詰め込みすぎると、地震のときに食器同士がぶつかり合って割れやすくなります。食器を収納するときは、ゆとりをもって間隔を空けることが大切です。特に高価な食器やお気に入りの食器は、できるだけ他のものと離して収納しましょう。

また、グラスやコップは立てて収納するよりも、伏せて収納するほうが安定します。伏せることで重心が低くなり、倒れにくくなるためです。ワイングラスなど脚の長いグラスは、専用のホルダーを使って固定すると、さらに安全です。

皿を重ねて収納する場合は、あまり高く積み上げないことも重要です。高く積むと、揺れたときに崩れやすくなるため、5枚程度を目安に重ねるとよいでしょう。重ねる枚数を減らすことで、取り出すときも楽になり、日常的にも使いやすくなります。

割れ物にはクッション材を使う

特に大切な食器や割れやすいガラス製品には、クッション材を使って保護することをおすすめします。食器の間に薄いクッションシートやペーパーを挟むだけでも、衝撃を吸収して割れにくくなります。

また、食器棚の一番上の段には、軽くて割れにくいプラスチック製の容器やタッパーなどを収納するのも一つの方法です。万が一落ちてきても、けがのリスクが少ないためです。逆に、ガラスの大皿や陶器の重い鍋は、できるだけ下の段に収納するようにしましょう。

こうした細かい工夫の積み重ねが、いざというときの被害を最小限に抑えることにつながります。日頃から食器棚の中を整理整頓し、安全な収納を心がけることが大切です。

カテゴリごとの箱収納もおススメ

倒れやすいグラスや割れやすい食器には、食器のカテゴリごとに箱にいれる収納をします。箱にいれることで取り出しやすくなり、揺れで割れてしまったときの片付けも楽になります。

特に取り出しにくい上部は、取っ手付きの箱に収納することで、普段から安全に取り出すことができます。さらにカテゴリにわけてあるので、家事もスムーズに行うことができます。

地震対策を行う際の注意点とよくある失敗

食器棚の地震対策を実践する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。対策をしたつもりでも、方法が間違っていたり、不十分だったりすると、かえって危険な場合もあります。ここでは、地震対策を行う際によくある失敗や見落としがちなポイントをまとめました。

突っ張り棒だけで十分だと思ってしまう危険

賃貸住宅などで手軽に使える突っ張り棒は、多くの方が利用している人気の対策グッズです。しかし、突っ張り棒だけでは、揺れの方向や強さによっては十分な効果を発揮しないことがあります。実際に、大きな地震で突っ張り棒が外れてしまい、食器棚が転倒した事例も報告されています。

突っ張り棒は、主に上下方向の力で支える仕組みのため、強い横揺れが続くと外れやすくなるという弱点があります。また、時間が経つと少しずつ緩んでしまうことも避けられません。突っ張り棒を使う場合は、少なくとも1年に1回は定期的に締め直しを行うとともに、耐震マットや耐震シートなど、他の対策と組み合わせて使うことが重要です。

壁の下地を確認せずに金具を取り付けてしまう失敗

L字金具や固定金具を使って食器棚を壁に固定する場合、壁の下地がある場所にネジを打ち込まなければ意味がありません。石膏ボードだけの部分にネジを打っても、強度が足りず、揺れで金具ごと外れてしまう可能性があります。

壁の下地を見つけるには、市販の下地センサーを使う方法が最も確実です。また、壁を軽く叩いて音の違いを聞き分け、太い音がする場所を探す方法もあります。下地の位置がどうしてもわからない場合や、自分での作業に不安がある場合は、無理に取り付けず、専門業者に相談することも検討しましょう。

重いものを上段に収納してしまう危険

食器棚の上段に重い鍋や大皿を収納していると、揺れたときに高い位置から落下し、頭や肩に直撃して大けがにつながるおそれがあります。また、棚の上部に重量が集中すると、揺れた際に扉が開きやすくなり、中身が一度に飛び出してしまうリスクも高まります。

重いものは必ず下段に収納し、上段には軽くて割れにくいものを配置する習慣をつけましょう。収納位置の見直しだけでも、地震時の危険性は大きく変わります。

避難経路に倒れ込むレイアウトにしてしまう失敗

食器棚を設置する場所も、地震対策では非常に重要です。玄関や廊下、階段などの避難経路に倒れ込む位置に食器棚を置いてしまうと、地震後に避難ができなくなる危険があります。また、寝室や子ども部屋の近くに大型の食器棚を置くと、就寝中に揺れが起きた際、避難の妨げになることもあります。

食器棚の配置を決めるときは、倒れたときにどの方向へ倒れそうかをイメージし、避難の妨げにならない場所を選びましょう。周囲に他の大型家具がある場合は、それらと向かい合わせにしない、連鎖的に倒れないように距離をとるなど、レイアウト全体で安全性を考えることが大切です。

対策後の点検を怠る失敗

地震対策は、一度行えば終わりではありません。時間の経過とともに、突っ張り棒が緩んだり、耐震マットの粘着力が落ちたりすることがあります。設置した当初は問題なくても、数年後には効果が大きく低下しているケースも少なくありません。

特に、突っ張り棒や耐震ポールは、最低1年に1度、定期的に緩みがないか確認しましょう。耐震マットも、経年劣化で固くなったり粘着力が弱くなったりするため、メーカーの目安や状態を見ながら数年ごとに交換することをおすすめします。また、耐震ラッチが正しく作動するかどうかも、定期的に扉を揺らしてテストしておくと安心です。

まとめ

食器棚の地震対策は、自分や家族の命と暮らしを守るために欠かせない備えです。大きな地震が起きたとき、食器棚が倒れたり中身が飛び出したりすることで、けがや避難の妨げ、さらには火災のリスクまで生じる可能性があります。だからこそ、今日からできる対策を一つずつ実践していくことが大切です。

離れて暮らしている家族、高齢者、障がいがある方などがいる場合は、地震対策をしてあげる配慮も大切です。食器棚の固定や食器の配置換えには体力が必要です。自身で対策できない場合は専門家や代行をたのみましょう。

揺れている間や緊急地震速報を受信した時に食器棚を押さえに行くのは絶対にやめましょう。 揺れている最中に食器棚に近づくと、転倒や破損に巻き込まれる危険があります。すぐに落ちてくるものがなく、倒れてくるものがない安全な場所に移動して身の安全を守ってください。

地震対策は、一度行えば終わりではありません。定期的に対策の状態を点検し、緩みや劣化がないか確認することが大切です。また、家族で避難経路や安全な場所を確認し、防災意識を共有することも、総合的な安全につながります。今日からできることを一つずつ始めて、自分や家族みんなが安心して暮らせる住まいを作っていきましょう。

アイフルホームでは、防犯や防災をテーマにした住まいづくりのご相談を受け付けています。地震対策や家具固定といった身近な備えから、災害時のリスクを減らす間取り・設備の考え方まで、暮らしに合った対策を具体的に知ることができます。防災・防犯対策についてしっかり考えたい方は、ぜひこちらのページをご覧ください。

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