家づくりの手順やかかる期間は、「家を建てる土地の有無」によって大きく異なります。土地がなければ家づくりは土地探しからスタートしますが、土地があるなら家のプランニングから始まるのです。
今回の記事では、土地がない場合とある場合それぞれの家づくりの流れについて解説します。一戸建てで家を建てる事を検討しているなら、期間なども考慮し、事前に最適なスケジュールで計画が進められるようにしましょう。金融機関との相談やサポート体制も含め、スムーズに手順を進めるための基本的な知識を家づくりの参考にしてください。
家を建てるのに最適なタイミングと検討時期
家を建てるかどうかを決める際、最も重要な要素の一つが「タイミング」です。ライフステージの変化、経済状況、制度の活用機会など、複数の視点から「建て時」を判断する必要があります。昨今は資材価格の上昇と金利の変動が続いており、先延ばしにするよりも今のタイミングで具体的に検討を始めることが、支払総額の安定化につながる現実があります。
ライフステージ別の検討時期
家づくりのタイミングは、人生の重要なイベントと密接に関わっています。結婚を機に「二人で住む家が欲しい」と考える方も多いでしょう。一方、お子様の誕生後に「子どもたちが安全に暮らせる環境を用意したい」という想いから家づくりを決める家族も少なくありません。
お子様の入学時期も重要な検討ポイントです。小学校入学前に新居に引っ越すことで、お子様が新しい環境に適応しやすくなります。さらに長期的には「将来のライフスタイルの変化を見据えた住まい」を選ぶことで、家族の成長段階に対応できる家が実現します。
優遇制度と補助金の活用機会
住宅ローン控除は所得税の軽減につながる重要な制度です。制度の内容や対象要件は年によって変わるため、最新情報を把握したうえで計画を立てることが大切です。また、省エネ性能が高い住まいを選ぶと、ZEH補助金など各種補助金の対象になる可能性があります。
これらの優遇制度は期間が限定されることが多いため、制度の終了前に検討を進めることが重要です。高い断熱性能やGX志向型住宅仕様などの基準を満たす住まいは、補助金の対象になりやすく、初期費用の軽減にもつながります。
金利上昇と資材価格の現実
現在、建築資材の価格上昇と金利の変動が続いています。これからすぐに価格が下がるとは考えにくい状況の中で、「今すぐ決める」ことで支払総額を安定させるメリットは大きいです。金利が上昇する前にローンを組むことで、毎月の返済額を確定でき、長期的な資金計画が立てやすくなります。
季節と工期への影響
家づくりの工期は季節による影響を受けます。梅雨時期や冬季は雨や雪の影響で工事が延びる可能性があるため、逆算して着工時期を決めることが大切です。引っ越しのタイミングや入学時期に合わせて入居するには、工程全体を把握し、余裕を持った計画が欠かせません。
こうした多くの判断基準を総合的に考えると、「いつかではなく今」という選択が、家族の理想を実現する第一歩となるのです。
家を建てる手順(土地がない場合の流れ)

土地を持っていない方が家を建てる際、まずは土地を探すことから始める必要があります。土地選びは、その後の建築プランや資金計画に大きく影響する重要な段階です。
土地を探す際の注意点
土地の探し方としては、以下の2つの方法が一般的でしょう。
不動産会社やハウスメーカーに土地探しを依頼する方法
不動産会社やハウスメーカー、工務店に土地探しを依頼する場合は、具体的な予算やどのくらいの広さの家を建てたいかなど、くわしい条件や要望を伝えることが大切です。また、しっかり丁寧な説明をしながら土地探しをしてくれる会社を選ぶようにしましょう。地盤の強さや周辺環境、将来のライフスタイルの変化を見据えた提案をしてくれるプロなら、より満足度の高い土地選びにつながります。
インターネットで不動産情報を探し、候補となりそうな土地を見つける方法
自分でインターネットを活用して土地を探す場合、ネットに掲載されている情報を見ただけで判断してしまうのは禁物です。実際に足を運んで見学してみると、インターネットではわからなかった周辺の情報や立地イメージが明確になることがあります。インターネットで情報収集して見つけた土地でも、その住所を訪ねて実際の様子を確かめ、現地の環境や立地条件などを確認しましょう。複数の物件を比較検討することで、家族に合う土地を選定できます。
自分に合った施工会社(ハウスメーカー・工務店)の選び方
家を建てるパートナーを選ぶことは、家づくり全体の成功を左右する重要な決断です。依頼先の種類によって特徴が大きく異なるため、自分たちの優先順位を整理した上で、どの会社タイプが最適かを判断する必要があります。
ハウスメーカー・工務店・設計事務所の特徴と違い
施工会社の主な種類は、大きく3つに分けられます。ハウスメーカーは全国規模で展開し、規格化された設計や部材を活用することで、品質の統一性と工程管理の効率性が特徴です。一方、工務店は地域密着型で、より細かい要望への対応や柔軟な設計自由度が強みとなります。設計事務所は建築家が設計を担当し、デザイン性と完全なオーダーメイド対応が可能ですが、設計料などの諸費用が高くなる傾向があります。
また、保証内容やアフターサービスの期間・内容も異なります。ハウスメーカーは長期保証(10年以上)やアフターサービスの充実を標準設定していることが多く、工務店は担当者との信頼関係が重視されます。
会社選びで確認すべき判断基準
施工実例の見学は、パンフレットやサイトの情報だけでは把握できない、実際の施工品質を確認する最善の方法です。モデルハウスや完成現場を訪れる際には、以下の点に注目しましょう。
- 施工の品質:壁紙の仕上げ、建材の扱い、細かい部分の仕上がりなど、職人の技術レベルが反映される箇所
- 断熱性能:部屋ごとの温度差がないか、実測値(気密測定結果など)が公開されているか
- 設備・内装:標準仕様でどこまでのクオリティが確保されているか、採用している建材や設備の質感
- 担当者の対応:メリットだけでなくデメリットも説明してくれるか、質問への返答の丁寧さ
相場や費用構造についても理解することが重要です。本体工事費と付帯工事費、諸費用の内訳を細かく説明してくれるか確認しましょう。追加費用が発生しやすい部分について、事前に説明があるかも信頼性の指標になります。
加えて、将来のライフスタイルの変化に対応できる提案力があるかも大切なポイントです。例えば、間取りに柔軟性を持たせたり、将来のメンテナンス計画まで見据えたプランニングができる会社は、長期的に安心できるパートナーと言えます。
複数の会社から資料を取り寄せ、住宅展示場でのイベントに参加するなど、情報収集を通じて比較検討することで、自分たちの理想と現実のバランスが取れた最適なパートナーを見つけることができます。
家を建てる手順(土地がある場合の流れ)

建替えの場合
建替えをする場合は、家づくりの計画と施工会社が決まったら、まず仮住まいを探すことから始めましょう。仮住まいへいったん引っ越し、古い家を解体します。家を解体し、土地の整地が終わったら、減失登記の手続きを済ませます。地盤調査をして改良が必要であれば改良工事、その後から建築工事という流れです。
新築の場合
建てたい土地に計画通り家を建てられるか、まずは施工会社で調査を行います(敷地調査)。建物のプラン詳細と資金計画の目処が立ったら、施工会社と工事の請負契約をします。建物が建てられるように整地をした上で建物の配置を確認し、地盤調査を実施します。調査結果によっては、地盤改良の工事が必要な場合があります。その後、建築確認申請をして、確認済証の交付を受けた後に建築工事を始めます。
農地転用の場合
土地の地目が農地の場合は、「農地転用」の手続きが必要です。その土地が「市街化区域」なら自治体の農業委員会へ「転用届出」を、それ以外の区域の場合は農業委員会へ「許可申請」をします。届出が済むか許可が下りれば、それ以降の手順は新築の場合と同様です。
家を建てる流れ・必要な期間
ここでは、家を建てる際のスケジュールについてご紹介します。
土地がない場合
生活イメージの構想
これから建てようとする家でどのように暮らしたいかを、おおまかにイメージしておきます。例えば、「都市部でコンパクトかつ機能的に暮らすか、郊外でのびのび暮らすか」など、ライフスタイルに合わせてマイホームを構想すると良いでしょう。将来の生活の変化も見据え、長く住み続けられる家づくりを考えることが大切です。
予算の設定と土地の決定
土地と建物にかける費用を決め、住宅ローンを利用する場合は支払いのシミュレーションをします。返済が可能な範囲の予算から土地に使う金額を決め、それを土地購入の予算として土地を探します。住みたいエリアや周辺環境、広さ、金額などの希望する条件を全て満たすような土地に巡り合う事は難しいので、譲れない条件と妥協できる条件や優先順位をあらかじめ決めておくと良いでしょう。資金計画をきちんと立てることで、無理のない返済スケジュールが実現します。
土地の購入・建物のプランニング
希望する土地が見つかったら、購入の申し込みをし、実際に建てる家のプランや間取りを見積もりをしながら施工会社と一緒に検討の上決定します。住宅ローンを利用するのであれば、住宅ローンの事前審査を行い、ローンを借りる為の条件を満たしているかを確認し、問題なければ、土地の契約を行います。このプロセスにかかる期間は「1カ月~2カ月」程と考えておくと良いでしょう。プランニングの段階で、キッチンやトイレ、外観、素材など細部にわたって納得いくまで検討することが重要です。
建築請負契約・建築確認申請
建物を建築する施工会社と請負契約の後、建物の仕様を確定したら、建物が法令に適合しているか確認するため建築確認申請を行います。建築確認申請を行ったら、建物の設計を基本的に変更はできないので注意しましょう。売買契約書や請負契約書などの書類をよく確認し、トラブルを防ぐことが大切です。
住宅ローンの借り入れ・着工
住宅ローンの本申し込みを申請して本審査をパスして、つなぎ融資の借り入れが済んだら着工です。建築請負契約から着工までに「1カ月~2カ月」程の期間をみておきましょう。工程管理をしっかり行う施工会社を選ぶことで、スケジュール通りの進行が期待できます。
住宅の着工から引き渡し
住宅の着工し、完成したら、完了検査を行います。住宅ローンの金銭消費貸借契約を結び、融資が実行されたら、施工会社に工事代金を支払い、建物の引き渡しとなります。住宅の着工から引き渡しまでにかかる期間の目安は、約3~4か月程となります。建物の引き渡しが済めば、いよいよ入居することができます。火災保険の加入やアフターサービスについても、引き渡し前に確認しておくと安心です。

土地がある場合
土地がある場合は、土地がない場合の流れから「土地の決定」「土地の購入」を除くスケジュールとなります。住宅の施工会社や注文住宅で建てる建物の内容、土地の条件によっても異なります。
家を建てるのに必要な費用の内訳と支払いのタイミング
家を建てるには、建築費用以外にも多くの支払いが必要です。初めて家を建てる方が予算計画で失敗しないよう、費用の内訳と支払いのタイミングを正確に把握することが重要です。
建築費用の3つの内訳
建築にかかる総費用は、大きく3つに分類されます。
| 費用の種類 | 内容 | 構成比の目安 |
|---|---|---|
| 本体工事費 | 建物の骨組み、外壁、屋根、基礎など、住宅本体の建築に直接かかる費用 | 全体の約70% |
| 付帯工事費 | 外構工事、給排水管の引き込み、ガス配管、電気配線など、敷地全体に関わる工事費 | 全体の約20% |
| 諸費用 | 登記手数料、建築確認申請費、住宅ローン借り入れ費、保証料など、手続きに関わる費用 | 全体の約10% |
例えば、建築費用の総額が3000万円の場合、本体工事費は約2100万円、付帯工事費は約600万円、諸費用は約300万円が目安となります。施主によって優先順位が異なるため、どの項目に重点を置くかを事前に伝えることが大切です。
契約から入居までの支払いタイミング
住宅ローンの融資実行前にも、複数回の支払いが発生することを念頭に置く必要があります。
- 手付金(契約時):建築請負契約時に支払う。一般的に本体工事費の5~10%程度。自己資金から用意します。
- 着工金(着工時):工事開始時に支払う。本体工事費の30~40%程度が目安です。
- 中間金(上棟時):建物の骨組みが完成した上棟のタイミングで支払う。本体工事費の30~40%程度。
- 最終金(完了時):工事完了検査に合格し、引き渡し時に支払う。残金全額となります。
ローン融資は通常、建物の完了後に実行されるため、着工金や中間金は自己資金で賄う必要があります。頭金とは別に、これらの支払い資金を用意しておくことが重要です。
見積もりの精度が鍵
後悔や予算オーバーを防ぐには、契約前の見積もりに照明、カーテン、エアコン、家電といった付帯費用が明確に記載されているかを確認することが欠かせません。曖昧な見積もりのまま契約を締結すると、着工後に次々と追加請求が発生する可能性があります。
各項目の金額根拠や、標準仕様に含まれるものと別途費用になるものを施工会社に詳しく伝えてもらい、納得したうえで契約書に署名することが大切です。
家づくりで失敗しないためのコツと後悔しやすいポイント
家づくりは決定の連続です。間取り、設備、資金計画など多くの選択肢の中から判断を迫られます。しかし、十分な検討なく進めてしまうと、入居後に「こうしておけばよかった」という後悔が生じやすいのが現実です。ここでは、よくある失敗事例と対策をまとめました。
間取りの失敗:生活スタイルとの不一致
間取りに関する失敗は特に多く報告されています。例えば、開放感を重視してリビング階段を採用したものの、来客が多い家庭では家族がリビングでくつろげないという事例があります。子どもが成長して個室の出入りが増えると、プライバシーも確保しにくくなります。
対策として重要なのは、現在の生活スタイルだけでなく、将来のライフステージの変化を想定したプランニングです。「5年後、10年後、家族はどのように過ごしているか」を家族全員で話し合い、生活動線をシミュレーションしましょう。子どもの独立や親世代との同居など、予想される変化に対応できる柔軟な空間設計を心がけることが大切です。
予算オーバー:見積もり段階での認識ズレ
建築工事費が想定を超えてしまうケースも少なくありません。契約時の見積もりに照明やカーテン、エアコン、外構工事が含まれていないことに、後になって気づくというパターンです。さらに、入居に向けて家具や家電を新調する予算も必要ですが、これらを見落としたまま資金計画を立ててしまう施主も多くいます。
防ぐためには、契約前に見積もりの内容を徹底的に確認することが不可欠です。「何が含まれているのか、何が別途費用なのか」を明確にしておきましょう。また、総予算を「建物+土地+諸費用+生活準備費」として、最初から全体枠を決めておくことで、予算配分を適切に行えます。
担当者とのコミュニケーション不足
打ち合わせの回数が少ないか、要望の伝え方が曖昧なために、完成後に「イメージと違った」となるケースもあります。「リビング階段がほしい」という手法だけでなく、「なぜそれが必要なのか」という目的を担当者に丁寧に説明することが重要です。
こうした不具合を防ぐには、打ち合わせ時に家族の優先順位を整理しておくことが役立ちます。設計変更ができなくなる建築確認申請の前に、疑問点や不安な点はすべて解決しておきましょう。信頼できる担当者との対話を通じて、理想の住まいを形にしていくプロセスが、後悔のない家づくりへの近道となります。
おわりに
今回は、家を建てる手順や期間の目安について、土地なし・土地ありのそれぞれのケースでご紹介しました。家づくりは着工以降よりも計画段階の方が時間を要することが多いため、準備段階からある程度期間がかかることを見越してプランを立てることをおすすめします。また、工程ごとの検査や施主検査を通じて、安心できる家づくりを進めることが大切です。





























